現在、「超」整理法シリーズなどで知られている、ベストセラー作家で、一橋大学教授、東京大学教授、早稲田大学教授などを歴任した、経済学者、野口 悠紀雄さんの講座を受講しています。
野口 悠紀雄(のぐち ゆきお、1940年12月20日 – )は、日本の元官僚、経済学者。専攻は、日本経済論、ファイナンス理論。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学教授を経て、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。
「世界史を創ったビジネスモデル」野口 悠紀雄 (新潮選書)
この本は、本当に知的な好奇心に溢れていて楽しめます。
もともと長く週刊誌に連載されたものをまとめたものなので読みやすいのですが、何せ448ページありますので、読むのは、結構大変です。
しかし、読む価値があります。
ビジネス書の目利きである土井英司さんも以下のように絶賛しています。
「近年稀に見る日本人著者による力作であり、かつ今後の日本の方向性への示唆に富む内容でした。」
それぐらい読み応えがありかつ、参考になる内容が多々あります。
今年出た本では、同じく読むことが困難な上下刊の大作「サピエンス全史文明の構造と人類の幸福」ユヴァル・ノア・ハラリ (著), 柴田裕之 (翻訳)(河出書房新社)に匹敵するほど、深みがあります。
目次
産業革命前後で変わったビジネスモデル
産業革命以降のビジネスモデルは、組織の巨大化、効率化です。
現在では、垂直統合(下請け、グループ企業など)が、水平分業(自由競争)になり、製造業は、高度サービス産業(金融など)に取って代わられました。
産業革命以降の働き方は、規律正しい労働でした。
現在は、軍隊的組織(command and control)から、自由な環境の中でアイデアを生み出すことが必要とされるようになりました。
組織の時代から市場の時代になり、市場経済を活かす国や企業のみが成長しています。
ダニエル・ピンクが言うところの「フリーエージェント社会」が到来し、「ハイコンセプト」の時代が本当の意味で到来しました。
アメリカでは、労働者の3分の1がフリーエージェントであり、ダニエル・ピンクのいうの右脳を使う人が活躍するの時代が到来しています。
そのさきがけが、スティーブ・ジョブズのアップルだったと思います。
日本は、まだハイコンセプトに対応できていません。
日本とアメリカの一人当たりの所得は、1994年は、アメリカは、日本の71.6%でした。
1990年代は、日本がアメリカを上回っていましたが、2000年以降追い越され、2016年には、アメリカは日本の1.75倍になりました。
現代に必要なのは産業革命以前のビジネスモデルを学ぶこと
アップルをさきがけとしたハイコンセプトの時代が訪れた現代のビジネスモデルは産業革命の時代とは逆光しています。
そして、産業革命前の時代への回帰が生じているのです。
これからのビジネスモデルを探るには、産業革命以前のビジネスモデルの共通点を知る必要があります。
- 寛容
- 異質性の尊重
- 市場経済の活用
- 分権
上記は、言葉は違えど、方向性は全て同じことを言っています。
これらの特性を失った時、ローマは急速に衰退しました。
「ローマ帝国衰亡史」のギボンのいう、蛮族の侵入によってではないのです。
「世界史を創ったビジネスモデル」は、一貫して、寛容の必要性を説いています。
しかし、トランプ大統領のアメリカ、安倍首相の日本など、全く正反対の方向に向かっています。
歴史が示すように、その結果は火を見るよりも明らかなのです。
記事中紹介著書
「世界史を創ったビジネスモデル」野口 悠紀雄 (新潮選書)
「サピエンス全史文明の構造と人類の幸福」
「フリーエージェント社会の到来」ダニエル・ピンク(ダイヤモンド社)
「ハイコンセプト」ダニエル・ピンク(三笠書房)
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