「新しい儲け方のヒント」高島健一著 日本経営合理化協会
高島陽氏を知る人は現在では、ほとんどいません。
しかし、中小企業のカリスマと言われている、武蔵野の小山社長も、先見性に関しては、高島陽氏から学んでいます。
高島氏の口癖は『百聞は一見にしかず。百見はワンタッチにしかず』です。
毎年、300日以上、日本全国はもとより、世界各地に足を運び、訪れた工場だけでも千数百社に及びました。
なぜなら、答えは、常に現場にしかないからです。
現場にいって、現場のものを触れて、現場で人と話すことでしかわからない真実があります。この本は、高島陽氏の息子である、高島健一氏が、2009年のインターネット時代に、高島陽氏の先見術を当てはめたもので、非常に読み応えがあります。
以下内容をまとめます。
ビジネスの5つの”常識の壁”は壊れた
- 距離の壁
- 時間の壁
- 言葉の壁
- 空間の壁
- 人材の壁
これらすべてが、インターネットによって、取り壊されたのです。
「情報発信とは、意味があることを発信するから価値があるのだ」
高島氏はプロとして、ブログやフェイスブック、メルマガなどで発信すべきだといいます。
「(現在は)ITブームの時のような技術力ではなく、社長の応用への発想力がカギである」
「インターネットを利用したビジネスを考える時、絶対に忘れないで欲しいことは開発ではなく、応用することである」
こうおっしゃているように、インターネットに関する応用は、リスクが少ない上に、効果が非常に大きのです。
なぜなら、インターネットは、電気、ガス、水道のような生活に欠かせないインフラになったからです。
干支の12年サイクルで見る”ものごと”
ものごとは干支の12年のサイクルで見るとわかりやすいといいます。
ただしはじまりは、子(ネズミ)ではなく、種となる亥(イノシシ)から見るのがコツです。
たとえば、インターネットにたとえて見てみます。
十二支のサイクル表(インターネット)
→1995年亥(イノシシ) Windows95
- 種子にこもる
→1996年子(ネズミ) 日本でYahoo!が開始
- 種子から根がでる
→1997年丑(ウシ) メルマガ発行会社まぐまぐ開始
- 根が伸びる
→1998年寅(トラ) Windows98、Google開始
- 地上に芽が出る
→1999年卯(ウサギ) 2ちゃんねる開始
- 芽が出そろう
→2000年辰(タツ) ネット接続定額制開始
- 若葉が出る
→2001年巳(ヘビ) ブロードバンド元年
- 成熟しきる
→2002年午(ウマ) ファイル交換が社会問題化
- ピーク
→2003年未(ヒツジ) ブログ、オークション活発化
- 実が味わえる、衰え始める
→2004年申(サル) 日本でSNSが開始
- 衰えつつも大きくなる
→2005年酉(トリ) ロングテール、アフィリエイト
- 実が酒になる、腐る
→2006年戌(イヌ) WEB2.0 YouTube
- 滅び始める
最近も、元ソニーCEOの出井さんが、2020年から、新しい時代が始まると言っていましたが、2020年に干支が子(ネズミ)になることからいってるのです。
2016年は、申(サル)ですから、衰えつつも大きくなりました。
そして、2019年亥(イノシシ)から、また新しいサイクルがはじまります。
社長のための12の基本先見術
ここで、企業の行先を見据える為に経営者が持っておくべき視点を12種類紹介します。
1 リズムを発見して先見する
世の中にはリズムがある。1年は12ヶ月、1ヶ月は30日、1分は60秒、1日は24時間など。
このリズムを見つける。代表的なもとは、先ほど紹介した干支。
2 異常なものから先見する
平均値から見る方法もあるが、極端値を見出し、そこから見抜く。
3 先行指標によって先見する
たとえば、医者は、血液や尿検査、爪の色から、病気を予想する。
4 新陳代謝を知って先見する
たとえば、石炭から石油、映画からテレビなどの新しいものに変わる変化を読み取る
5 変化に目をつける
変化を意識して感じるようにする。
たとえば、女性は、夫のわずかな変化から浮気を見抜く。
6 大変の時の先見術
大変は、15年から20年おきに起こる。
1929年の世界恐慌、1945年の第二次世界対戦終戦、1955年からの高度成長、1989年の冷戦解消、2008年以降の世界的な経済不況とテロなど。
7 タッチして変化の芽をさぐる
常に人とまじりあって言葉を交わし、変化をタッチしていく。自分の視点だけで凝り固めず、常に「一般」んみ触れることです。
8 定点観測
同じ時間に同じ場所を観察すること。
例)毎週末同じ時間に、新宿の百貨店行き、数カ所の売り場をチェックする。
9 立場を変える
東京にいると宇都宮は北だが、青森から見れば南になります。同じ物事も視点を変えるだけで全く別の捉え方ができることは忘れてはいけません。
例)お客さまの立場や、男性なら女性の立場で考えて見る。
10 響きをみる
どのような材料が人々に響いているのかを見る。
11 アンカー
ロジャースのイノベーター理論では、サービスに対して以下のように人が分類されるといいます。
- イノベーター(挑戦者)2.5%
- アーリーアダプター(オピニオンリーダー)13.5%
- アーリーマジョリティ(初期多数者)34%
- レイトマジョリティ(後期多数者)34%
- ラガード(伝統主義者)16%
新サービスを「まず試す」という人がイノベーターと呼ばれる層、ほんのわずかです。後続として以下のようにサービスは展開します。
■アーリーマジョリティ(初期多数者)とレイトマジョリティ(後期多数者)
→フォロー(大衆)=流行りに乗る
■ラガード(伝統主義者)
→アンカー(最後の走者)=生活になくてはならなくなったら取り入れる
商品の普及は7~10%に達すると急速に進むので、大衆の中でも行動の早いアーリーアダプター(オピニオンリーダー)が採用するかどうかが、鍵となる。逆にアンカーの参入が撤退の合図となる。
12 悩みの種はめしの種
お客さまの悩みを解消することがビジネスの本質。日常生活や何気ない会話の中で人が漏らす「悩みの種」を解決することは、価値となり、サービスとなります。
インターネットの登場で壊れた壁は「視点」を与えた
冒頭に書いた通り、これまで当たり前とされていた、距離・時間・言葉・空間・人材の5つの壁(常識)はインターネットのインフラ化により壊されました。
そして、時代を干支で読み込むことも、12の視点で見方を変えることも、膨大な資料を読み漁ることなく情報を得られるようになりました。
2009年のインターネット時代に、高島陽氏の先見術を当てはめた「新しい設け方のヒント」を参考に、言葉通り”ヒント”を見つけてみてはいかがでしょうか。
記事中参考著書
1万円の本ですが、買う価値があります。
アマゾンの中古では、かなり安く買えてお買い得です。
「新しい儲け方のヒント」高島健一著 日本経営合理化協会
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