未来工業株式会社は、各種メディアでホワイト企業として注目され、2015年に第1回ホワイト企業大賞を受賞した、電気設備資材・給排水設備・ガス設備資材の製造販売を行う会社です。
年間の休みが140日、年末年始の休日は19日間、ゴールデンウィークも10日間連続して休め、その上夏期休暇が10日間。
残業は一切禁止して、終業時間の夕方4時45分を過ぎると、社内にはほとんど人影がなくなります。
従業員は、全て正社員です。それでも、創業以来赤字がない会社としても知られています。
1991年には名古屋証券取引所二部に上場までしています。
2017年3月期の最新の決算報告書によると、売上高336億円、経常利益41億円、自己資本率80%と圧倒的に儲けています。
どこよりも休んでいて、社員の給料も高いのに、なぜそんなに儲かるのか?
未来工業の高収益を支えているのは、圧倒的な新商品開発力にあります。
目次
新商品を年間1000件開発、未来工業のクリエイティブの仕組み。
年間の新商品の開発件数は300~500件、改良を加えると1,000件を超えます。
なぜこんなに、新商品が開発出来るのか?
未来工業では「差別化」と「常に考える」ことをスローガンとしています。
ここまでは一般の会社でも見かけるスローガンかもしれませんが、未来工業のクリエイティビティにはさらなる仕組みがあります。
発想自体に500円、採用されれば3万円のアイディア採用制度
人の悪口・個人の中傷以外は、基本的にはどんな提案でもOKで、企画を提出した段階で一件あたり500円が支払われます。
採用、不採用にかかわらずです。
さらに、新商品開発に結びついたもの・職場の環境改善に寄与したもの・経費削減に貢献したものなどで、採用されると最高で3万円が支給されます。
社員の満足度を上げるために”なくした”もの
社員の感動、幸福のための、多くのユニークな制度があるこの未来工業に、ないものがあります。
それはタイムレコーダーとユニフォーム、女性社員によるお茶くみと社用車などです。また、未来工業では”わざと”コピー機の台数を減らしています。
タイムレコーダーがないのは、社員を信じているからです。
ユニフォームがない理由は、個性尊重のためです。
女性にお茶くみをさせないのは、「お茶は女性が出すのが当然」という性差別をさせないことで、固定概念を打ち破るためです。
社用車がないのは、そんなお金があったら、社員に還元するためです。
あえてコピー機を一台にしているのは、並んでいる間に、全社員のコミュニケーションの場づくりをして、風通しをよくしようというものです。
未来工業が取り組む社会貢献
未来工業は地域貢献、社会貢献、市民貢献に熱心な会社です。
前身が未来座という劇団だったことから、年に1回、数千万円以上かけて「未来コミュニティーシアター」という大規模な音楽祭、演劇祭を開催しています。
地域住民や取引先の方々を無料招待しています。
地域の人から、喜ばれるので、社員のプライドは、いやでも高まります。
社員や取引先などへの未来工業のはからいは、半端ではなく、1995年に起こった阪神淡路大震災の際には、未来工業と取引のある会社も被災してしまいました。
なんとその時、未来工業は債権を放棄してしまったのです。
その額は1億6000万円にものぼります。
これを知った社員の中で、未来工業への誇りと会社への愛社精神が喚起されないはずがありません。
ホウレンソウ(報告、連絡、相談)を禁止しているのも、ホウレンソウに費やしている暇があるなら、頭を使って、新しい価値を探し出そうと試行錯誤するほうがはるかに重要だと考えているからです。
未来工業が掲げる「クリエイティビティ(創造性)」の仕組み
未来工業は、徹底して、社員が考える、社員が会社のために奮闘する仕組みを創りあげているのです。
創業者の山田昭男さんは、もともと、自分で劇団をやっていた方で、劇団員の仲間と一緒に未来工業を作りました。
常識はずれの経営は、山田昭男さんのクリエイティビティ(創造性)から来ています。
未来工業は、まさに稀代のアーティスト山田昭男さんの芸術作品です。
日本のアーティスチックな起業家の草分けと言えます。
山田昭男さんの本はたくさん出ていますが、1冊読むなら、以下の著書がおすすめです。
新商品開発に興味のある方は、ぜひ本を読んで見てください。
「稼ぎたければ、働くな。」山田昭男 (著)サンマーク出版
唯一残念だっだことが、創業者の山田昭男さんがすでになくなっていることです。
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