マイケル・マスターソン氏は年商100億円以上の会社を2社、50億円以上の会社が2社、10億円以上の会社を
10社以上をゼロから育てたシリアルアントレプレナーです。
POINTシリアルアントレプレナー:いくつものベンチャー事業を次々と立ち上げる 起業家(アントレプレナー)のこと。「シリアル」(serial)は「連続的な」という意味の英語)
世界的なシリアルアントレプレナー(連続起業家)である、マイケル・マスターソン氏は、「大富豪の起業術 上巻―毎年700億円を稼ぎ出す〈ダイレクトマーケティング」(ダイレクト出版)の中で、ビジネスというのは、以下の4つのステージがあるといいます。
- ステージ1幼年期:年商0~1億円
- ステージ2少年期:年商1~10億円
- ステージ3青年期:年商10~50億円
- ステージ4成人期:年商50~、100、200億円
そして、 それぞれのステージで注力すべき事、やるべき事というのは違うのです。
ほとんどのビジネス書が中小企業にとって役に立たないのは、全く別のステージにある問題を取り扱っているからです。
大部分のビジネス書は、少年期の年商1~10億円規模以上の会社を扱っています。
つまり、やるべきことが違うので、幼年期の年商0~1億円規模の会社にはあてはまらないのです。
ステージ1の事業の立ち上げに成功するために必要な基本的な能力は2つしかありません。
- 商品、サービスを販売する方法を知っている
- その販売方法を実践できる
目次
企業の成長を仕組み化する3段階のステップ
世界ナンバーワンスモールビジネスコンサルタント、マイケルE.ガーバー氏は、企業の成長段階について、全世界500万部のベストセラー「はじめの一歩を踏み出そう」(世界文化社)の中で、3つの段階に分けています。
- 幼少期
- 青年期
- 成熟期
私なりにこの二人の理論や他の著名コンサルタントや経営者の理論を分析、研究すると、以下のようになります。
- 売上げ(セールスとマーケティング)拡大の仕組み作り
- マネジメント(チーム作り)の仕組み作り
- 社長が会社にいなくても回る仕組み作り
それぞれの段階でやることが違うことがとても重要です。
3の”社長が会社にいなくても回る仕組み作り”の段階に入っても、1の「売上げ拡大の仕組み作り」、2の「マネジメントの仕組み作り」はやり続ける必要があります。
さらに、1の売上げ(セールスとマーケティング)拡大の仕組み作りの段階でも、2「マネジメントの仕組み作り」、「3社長が会社にいなくても回る仕組み作り」については、ある程度考えおく必要があります。
この企業の成長段階は非常に大切です。
それぞれが、100年以上にわたり世界中の経営者、経営コンサルタント、経営学者などによって、研究されており、ある程度の答えは出ています。
- 売上げ(セールスとマーケティング)拡大の仕組み作り
- マネジメント(チーム作り)の仕組み作り
- 社長が会社にいなくても回る仕組み作り
今回はこの3段階を分けてまとめ、それぞれを具体的に説明していきます。
ここまでの主な参考文献
「大富豪の起業術 上下巻―毎年700億円を稼ぎ出す(ダイレクトマーケティング起業家が明かした)」(ダイレクト出版 )
全世界500万部のベストセラー「はじめの一歩を踏み出そう」(世界文化社)
①売上げ(セールスとマーケティング)拡大の仕組み作り
売上げ(セールスとマーケティング)拡大の仕組み作りで、最大最高のものは、新商品、新サービスの開発です
東京の江戸川区にある古田土会計は、経営計画書と月次決算を武器に、30年以上増収で、高い利益率と無借金経営を実現しています。
2016年3月11日にマザーズに上場をしたフィットは狭小地に太陽光発電を搭載した一戸建てを建設することで、家賃収入と売電収入を合わせた投資効果の高い不動産経営というビジネスモデルを構築しました。
このように、儲かっている会社には、必ずいい商品、いいサービスがあります。
売れる商品、サービスを作るための方法は、以下の4つのステップになります。
- USPを作り出す
- ストーリーを作り出す
- パブリシティ(プレスリリース)
- マーケティング(コンテンツマーケティング)
売上げ(セールスとマーケティング)拡大の仕組み作りは、他にもたくさんありますが、新商品、新サービスの開発と並んで効果的な方法が、集客の仕組み化です。
集客の仕組み化とは、集客できる人または企業と関係を構築し、ビジネスモデルに入れ込むことです。
保険サービスシステム株式会社は、保険の見直しやコンサルティングをする会社です。
この会社は自分で集客をしません。
創業当初は、大手税理士法人古田土会計の事務所を間借りしてスタートしました。
現在では、全国1,800を超える会計事務所・税理士事務所と提携して、自から集客することなく、爆発的に儲けています。
商品、サービスは特にすごくないのに、儲けている会社には、外部には見えないすぐれた集客の仕組みがあるこがあります。
集客の仕組み化もまた、すぐれた売上げ(セールスとマーケティング)拡大の仕組みを作る方法です。
②マネジメント(チーム構成)の仕組み作り
売上げ(セールスとマーケティング)拡大の仕組み作りがある程度できて、売り上げが安定してくると、人を雇うことができるようになります。
人数は、1人でも、2人でも、5人でも、10人でも、100人でも、何人でも関係ありません。人が入った瞬間にマネジメントが必要になります。
この分野もすでにかなり研究されています。
私は、新聞販売店の経営していたので、人の管理にはかなり苦労してきました。
都内の新聞販売店には、なかなか人が集まらないからです。
せっかく入った人もすぐにやめてしまうことが多いからです。
今いるスタッフが、入ったスタッフが、どうしたら、定着してくれるのかに頭を使ってきました。
武蔵野の小山社長や古田土会計の古田土理事長など、名だたる中小企業の経営者が、経営の神様と信奉する、一倉定は、中小企業を発展、安定させる方法として、環境整備(整理、整頓、清掃、清潔、躾)と 経営計画書を推奨しています。
特に、環境整備は、理由はよくわからないが、会社が大きく変わるといっています。
私も、新聞販売店をきれいにしただけで、店の雰囲気が大きく変わり、店内のコミュニケーションが円滑になる経験をしました。
飲み会、カラオケ大会、ボーリング大会、社員旅行などのイベントもチーム作りにはかかせまん。
私も、毎月何かしらのイベントを必ずやっていました。
京セラ、KDDIを日本を代表する企業に育て上げ、JALを再建した、名実ともに日本一の経営者といえる稲盛和夫さんの経営も、人と人の絆を強くつなげる稲盛流コンパ(飲み会)で築きあげてきました。
京都にある京セラの本社の12階には、100畳の和室があり、また全国の主要な事業所にも必ず和室があります。
ここで毎晩コンパします。
稲盛さんは創業以来頻繁に、また12月の忘年会シーズンには、ほぼ毎日コンパに出かけ、風邪をひいて、高熱を出しても、注射を打って社員と酒を飲むことを習慣としていました。
稲盛流コンパには、ルールがあります。
まず必ずその日のテーマを決めます。
テーマと関係ない話はできません。
司会進行役を立て、時間割を決め、座席表まで作ります。
飲み会といってもただの飲み会ではなく、れっきとした仕事なので、全員参加が原則なのです。
③社長が会社にいなくても回る仕組み作り
最後は、社長がいなくても回る大企業のような経営です。
より正確には、フランチャイズのような経営です。
現在のフランチャイズの元を作ったのが、レイ・クロックです。
多くの経営者がマクドナルドを作ったレイ・クロックから経営を学んできました。
世界一の小売業を作ったサム・ウオルトンから日本ではソフトバンクの孫正義氏やユニクロの柳井正氏などそうそうたる人たちがいます。
マクドナルドの基を作ったのは、レイ・クロックではなく、マクドナルド兄弟でした。
彼らは優秀な経営者でハンバーガー店を大繁盛店にすることに成功しました。
フランチャイズ化にも乗り出したのですが、それには成功しませんでした。
その後、マクドナルド兄弟の店のフランチャイズを成功させたのが、兄弟からフランチャイズの権利を買い取ったレイ・クロックだったのです。
なぜレイ・クロックはフランチャイズ化に成功して、優秀な経営者だったマクドナルド兄弟は成功できなかったのでしょうか?
最大の理由は、マクドナルド兄弟が他の人に経営を教えるという仕組みを持ってなかったことです。
レイ・クロックの成功の基になっているのは、彼の30年以上にわたるセールスマンとしての下積み経験があったからです。
彼は52才でマクドナルドをスタートさせましたが、それまで長年にわたりミルクシェイクのミキサーのトップセールスマンとして活躍していました。
彼は長く、全米中の飲食店を訪問することで、飲食店の問題点に気づいていたのです。
具体的に日本マクドナルドの事例(2013年度)を見ていきましょう。
マクドナルドフランチャイズ化の徹底した仕組み作り
日本には約3200の店舗があります。全店売上高はおよそ5000億円、営業利益はおよそ115億円になります。
全従業員数は15万人。そのうち学生が7割を占めます。学生は数年経つと、就職や卒業をしていきます。
つまり、従業員の出入りが非常に多いという事です。人が入ってはやめ、やめては入るとういうような状況なのです。
このようなの中で短期間で戦力にするということがマクドナルドの至上命題です。マクドナルドのマニュアル化、数値化、イノベーション(改善)は非常に高度で、多くの企業のお手本とされています。
レイ・クロックが最初に取り組んだことは、マクドナルド兄弟の店を完璧にモデリング(お手本)することでした。
そのために彼の取った方法は、QSCです。Qはクオリティー(品質)Sはサービス(サービス)Cはクレンリネス(清潔)です。
現在の飲食店では基本となっているものです。
この基準を達成するために、レイ・クロックは膨大なマニュアルを作り上げました。
そのマニュアルは項目数だけでも2万5000を数えるまでになりました。
もちろんすべてがマニュアル化できるわけではありません。
最も重要な部分、全体に影響を与える部分を中心にマニュアル化していけばいいのです。
高度に専門化された部分はマニュアルができない場合があります。
そういう部分は専門家に任せればいいのです。
要は単純化できるものは単純にして誰でもできるようにするということです。
マクドナルドはマニュアル化だけではなく、数値化も徹底して行っています。
QSCや売上、人件費を数値化するのはもちろんのこと、売り上げの予測から想定して必要な従業員の数、従業員の時間あたりの稼ぎ高、離職率、従業員の技量まで数値化されます。
数値化されることによって改善点がすぐにわかるようになっているのです。
最大のイノベーションは”教育”
マクドナルドそのものが高度なイノベーションの組織です。
最大のイノベーションはやはり教育にあります。レイ・クロックは、早くから教育の重要性に注目していました。
資金のない時から企業内教育機関としてハンバーガー大学を作り、従業員の訓練に励みました。当時飲食業界で教育機関持っているところなど皆無でした。
その結果、他の飲食業界は全く追随できなくなりました。
実はマイケル・E・ガーバーがつくった起業家育成プログラム「ドリーミングルーム」もすぐれた仕組みでできています。
世界中のガーバー認定ファシリテーター(促進役)が彼の分身となり、彼の代わりにガーバーの起業家育成プログラムを伝えるようになっています。
具体的には「起業家育成プログラムのテキスト」とそれを教えるためのマニュアルが用意されています。
このマニュアルの手順どおりにテキストを教えていくだけで、ある程度のレベルの人ならセッションを進めることができる仕組みになっています。
私自身、ガーバー認定ファシリテーターをやってみて初めてわかったことですが、プログラムが高度に仕組み化されているため、最初から驚くほど簡単にセミナーが運営できます。
ガーバーはファシリテーターの資格認定料やセミナー収益をロイヤリティとして受け取るビジネスモデルを構築しているのです。
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